この記事の3つのポイント
- 制作から入って効かなかった、分析フェーズ提案で敬遠された、という失敗の原因は提案の上手さより見極め不足。
- 「何を直せばいいかわからない」「施策は打つが効果不明」「データあるが使えていない」がヒアリングで出るサイン。
- 顧客が問題の所在を掴めていないか、データが活用されていないか、意思決定者が関与できるかで判断する。
営業やプランナーが提案を準備するとき、制作支援と分析支援をどう使い分けるかに迷うことは多い。制作から入って後から「思ったより効かなかった」と言われるケースも、分析フェーズを提案したら「工程が増える」と敬遠されるケースも、どちらも実際に起きる。
問題は提案の上手さより先にある。分析支援が本当に有効な案件と、そうでない案件を、ヒアリングの段階で見分けられているかどうかだ。この記事では、その見極めに使える観点を整理する。
ヒアリングで気づくべき「分析が必要なサイン」
分析支援が有効な案件には、ヒアリング段階で共通して出てくる発言のパターンがある。
「CVRが低いのはわかっているんですが、どこをどう直せばいいかが…」「いろいろ施策は打ってきたんですが、何が効いたのか正直よくわからなくて」「データは取れているはずなんですけど、あまり見られていないですね」。こういった言葉が出てくるとき、顧客は問題の存在は感じているが、問題の所在がわかっていない状態にある。
この状態で制作支援から提案しても、「何を直すか」の判断がないまま手が動くことになる。ページをリニューアルしても数字が変わらない、という結果になりやすい。分析支援が価値を持つのは、この「問題の所在を明らかにする」前工程としてだ。
制作支援だけでは弱くなる案件の構造
制作支援は「作る」ことには答えられるが、「何を作るべきか」には直接答えられない。この違いは、案件の状態によっては致命的になる。
問題が発生しやすいのは、顧客が「なんとなく改善したい」という動機で動いているケースだ。目的の指標がはっきりしておらず、「より良くなればいい」という状態のまま制作が進む。この構造では、完成物に対して「思ったのと違う」「効果が見えない」という評価が出やすく、支援会社への信頼が損なわれるリスクもある。
顧客が「何を直せばよいかわからない」状態にあるかどうかは、最も重要な見極め点の一つだ。
分析支援が有効になりやすい案件の特徴
ヒアリングを通じて以下の状態が確認できる場合、分析支援が有効になりやすい。
施策は打っているが、何が効いているかの判断軸がない。リニューアルや広告出稿を繰り返しているが、数字への影響を追えておらず、次の施策の根拠が積み上がっていない。
データはあるが、施策判断に使われていない。GA4やCRMのデータが存在しても、担当者が見ていない、または見ているが解釈できていない状況がある。この場合、分析支援は「データを取る」工程ではなく「データを読んで使えるようにする」工程として機能する。
意思決定者が定量的な根拠を求め始めている。経営層が「感覚でなく数字で話してほしい」と言っているのに、現場が感覚で動いているギャップがある場合、分析支援への入り口が生まれやすい。
提案しやすいタイミングとそうでないタイミング
分析支援を提案しやすいのは、顧客が「今の進め方に限界を感じている」タイミングだ。施策を打っても手応えがない、担当が変わって改めて見直したい、社内で議論が迷走しているといった状況がそれに当たる。こういった場面では、分析フェーズを挟むことへの納得感を得やすい。
逆に提案が刺さりにくいのは、顧客がすでに課題を特定していて、すぐ制作や実装に入りたいと考えているケースだ。この状態で分析を提案すると、「余計な工程を増やされる」と受け取られやすい。ただし、課題の特定が正確かどうかに疑問を感じる場合は、「前提確認として短い分析フェーズを置く」という形で提案できることもある。
予算が小さく、分析に時間をかけられない案件も、優先度は下がる。制作先行で進めながら改善サイクルの中に分析を組み込む提案のほうが、顧客の現実に合っていることが多い。
案件を見極めるための4つの問い
ヒアリング後に案件の性格を判断するとき、以下の問いを持つと整理しやすい。
顧客は「何を直せばいいかわからない」状態にあるか。これが最も重要な判断点で、この状態にあるとき、分析支援の必要性は最も高くなる。
施策実行よりも課題整理が先に必要か。何のための施策かが不明確なまま走るリスクがある場合、分析フェーズを挟む価値が生まれる。
データが存在するが活用されていないか。データを読んで使えるようにする支援は、データを取る工程とは異なる。すでにデータがある環境では、分析支援が短期間で価値を出しやすい。
意思決定者が関与できる余地があるか。分析支援は、顧客側の判断を変えることを目的とする以上、意思決定者が関われない構造では効果が出にくい。誰が意思決定者で、その人がどの程度関われるかは、提案前に確認しておきたい。
見極めが提案の質を変える
分析が有効な案件に制作から提案してしまうと、後から「効かなかった」という評価につながりやすい。逆に、課題が明確な案件に分析フェーズを挟もうとすれば、顧客から「話を聞いてもらえていない」と思われるリスクがある。
見極めの精度が上がると、提案の説明に根拠が生まれる。「この案件には、まず分析フェーズが必要だと判断した理由」を顧客に言語化できるかどうかが、支援会社としての提案力の差になって現れる。